育休を取ろうと決めたとき、最初に頭をよぎったのは「申し訳ない」という気持ちだった。
時期は1月から4月。人事担当者なら誰でも知っている、一年で最も忙しい季節だ。採用の最終局面、新卒受け入れの準備、評価制度の運用、春の人事異動。チームは毎年この時期、残業が当たり前になる。
そのタイミングで「4ヶ月休みます」と言うのは、正直、怖かった。
そもそも取得できるのか、という不安
育休は権利だ。制度上は取れる。頭ではわかっていた。
でも「権利だから取れる」と「実際に取れる」の間には、大きな溝がある。特に人事部門という立場だと、その溝がより見えやすかった。制度を整える側にいながら、自分が使う側になるとき、変な緊張があった。
取得できるかどうかより先に「取っていいのか」という問いが浮かんでくる。これは多くの男性が育休を前に感じることだと思う。
上司と同僚は、快く承諾してくれた
実際に相談してみると、上司も同僚も「いいよ」と言ってくれた。
嬉しかった。本当に嬉しかった。同時に、申し訳なかった。
この「嬉しいと申し訳ないが同時にある」感覚は、育休を取った男性の多くが経験するものだと思う。そして多くの場合、「申し訳ない」が勝って、取得期間を短くしたり、結局取らなかったりする。
私は後者にはならなかったが、その葛藤は最後まで消えなかった。
なぜ承諾してもらえたのか、後から考えた
育休が終わって少し時間が経ってから、「なぜあの時、スムーズに承諾してもらえたのか」を考えるようになった。
制度が整っていたから、という理由は半分正しい。でも制度だけでは説明しきれない部分がある。
私なりの結論は、普段からの関係性だった。
育休の相談は、突然見知らぬ人に頼むのではない。毎日一緒に働いてきた上司や同僚に頼むのだ。その関係性の積み上げが、「あいつが休むなら仕方ない、カバーしよう」という気持ちにつながるのだと思う。
制度が「取れる権利」を保証するなら、関係性は「取りやすい空気」を作る。この両方が揃って、はじめて育休は本当の意味で取得できる。
4ヶ月休んで、よかったと思っている
結果として、4ヶ月の育休を取った。
仕事から離れたことで、自分がいかに仕事に自分のアイデンティティを乗せていたかに気づいた。子どもの成長を間近で見られたことは、何にも代えられなかった。
キャリアに傷がついたかどうかは、正直まだわからない。でも今のところ、取って後悔したとは思っていない。
「育休を取りたいけど、自分の職場では難しいかもしれない」と感じている人に、一つだけ伝えるとしたら。
制度を調べる前に、日頃の関係性を振り返ってみてほしい。それが、育休取得の本当の土台になる。